『抑うつ』どうしてなるの? 無力感抑うつの正体
今回は、心理学シリーズです。
昨今、数多くの「心理学」にまつわる本が出版されています。
その種類や内容も豊富で、自己啓発系や一般の方向けに書かれた手に取りやすい本から、専門家が読む、小難しい理論が書かれている分厚い本まで多種多様です。
心理学に興味があるけど、「何を読んだらいいのか分からない」という方や、
あるいは、「最近、人間関係で悩んでいる」と周りとの関係性にお困りの方、「自分の気持ちが分からなくて悶々としている」と自分自身の気分や調子の優れなさを感じている方、さらには、「自分はこのままでいいのか」という漠然とした自己不全感に悩まされている方に向けて
私が、皆さんにお勧めの本を紹介しながら、その中に書かれている心理学の知識や理論について解説を加えていきたいと思います!
みなさんの心が少しでも前向きに!
「自分」に「イエス」と思えるように!
「行動」が「楽しい」に変わるように!
「自分の人生」が「ワクワク」で彩られるように!
それでは、はじめましょう。
今日お勧めする本は、
『自分のこころからよむ臨床心理学入門』
著者は、丹野義彦先生・坂本真士先生です。出版は、東京大学出版会です。
その中の「改定学習性無力感」について取り上げていきます。
「改定学習性無力感」は、「1978年に、エイブラムソンによって発表された理論です。」
この理論が、私達が抑うつになるメカニズムを教えてくれています。
抑うつになるメカニズムとは?
「抑うつになるメカニズムは、結果がどうだったかよりも、その結果の原因のとらえ方による」
自分の気分を落ち込ませるような、出来事が抑うつを引き起こすのではなく、
その出来事の原因を自分がどのようにとらえるかという『捉え方』で、
抑うつになるかどうか決まるということなんです!
では、どんな『捉え方』が抑うつになりやすい『捉え方』なのでしょうか?
抑うつになる捉え方ってどんな捉え方なのか、解説するまえにあるエピソードをご紹介しておきます。それを例に話しを進めていくことにします。今回のエピソードは、仕事で先輩に怒られてしまった場面です。
Aさんは、学校を卒業して資格をとり、とある介護施設に新卒で入職しました。
皆さんもご経験がおありかと思いますが、新人の頃は、指示されたことをこなすだけで精いっぱいになりますよね。
Aさんも、皆さんと同じように、現場で先輩に教えてもらったことをこなすので精一杯でした。
Aさんは真面目な性格で、先輩に言われたことを必死で体に覚え込ませ、取り組んでいました。
そんなある日、Aさんは、早出業務中のことでした。
その日は、朝からバタバタ。ご利用者様のトイレ誘導やオムツ交換が立て込んでいました。
それに対応していた、一緒に早出業務についていた先輩Bさんは、Aさんに、「今トイレ誘導で手が離せないから、Aさん朝食の見守りをお願いしていい?」と頼まれます。
Aさんは、本来の業務割だったら、モーニングケアで使用済みになったタオルや、汚れてしまった衣類や寝具を集めて洗濯をすることが本来の役割でした。
そのことを考えつつも、Aさんは、先輩Bさんがバタバタしている様子から、臨機応変に考え、Bさんの提案を引き受け、朝食の見守りを優先して、本来自分がやるはずである洗濯を後回しにすることにしました。
そこへ、その日の入浴担当で出勤してきたCさん。
Cさんは、Aさんの顔を見るなり、こういいました。「ちょっと!Aさん!どうして洗濯してないのよ!早出のAさんの仕事でしょう!!」
Aさんは、ついCさんの大声にびっくりしてしまって、「すいません…。でも、今日は…」尻込みしてしまって、今朝の状況をうまく説明することができません。
完全に怒ってしまっているCさん。「ちゃんと業務を覚えてよね!ひとりで仕事してるんじゃないんだから!!全体のこと考えて動きなさいよ!」
結局Aさんは、「すいません…」と謝ることしかできませんでした。
さらに、Aさんは、Cさんを怒らせてしまったことに申し訳なささえ感じてしまうのです。
この一件から、Aさんは、次第に落ち込んでしまうようになりました。素敵だった笑顔も消えてしまって、何をやるにも自信を持てずに、びくびく相手の顔色を窺うようになってしまいます。
さらに、Aさんは、体調がすぐれなくなり、意欲も低下していき、ついには、職場に来れなくなってしまいました。そう、Aさんは、抑うつ状態となり、仕事をすることが難しい状態になってしまったのです。
その時のAさんの頭の中を少し覗いてみましょう。
「Cさんがあんなに怒ったということは、あの時の私の選択がやはり間違っていたんだ。あの時Bさんが大変そうだったから手伝ったけど、やっぱり業務のマニュアルにそってやるべきだった。
考えてみると、今回のことに限ってのことじゃない。
この前の夕食の配膳の時も、私がやろうとしたことに対して、先輩のDさんが怪訝そうな表情をしていたし。あの時直接怒られたわけじゃないけど、きっとあれも私のやり方が間違ったりしてたんだ。
そうだ、小さいころから私ってそんなことばっかりだったな。
お母さんに『あんたは不器用だし、余計なことばっかりするんだから、お母さんの邪魔しないでよ!』ってよく怒られてたっけ…。あの時のお母さんの目怖かったなぁ…。そういえば、この間、職場でEさんがそんな目をしてたっけ。あれって、私をにらんでたんじゃないかな。。あの時は、そうは思わなかったけど、きっとそうだ。私のことが嫌いでにらんでたんだ。それに気づかずにあの時、Eさんに話しかけたけど、だから、あの時のEさん、リアクション悪かったんだきっと。あぁ、Cさんだけじゃなくて、Eさんの機嫌も私が悪くさせちゃったんだ。合せる顔無いな…。
今の仕事も、自分では少しはご利用者様の役に立てるようになってきたなって思っていたけど。そうじゃなかった。だって、私まだできないことだらけじゃん。。。あの時私がマニュアル通りに洗濯の業務をしたとしてても、結局私がやる洗濯なんだから、きっとCさんに怒られてたんだろうな。私って駄目な職員なのかも。私って何をやってもダメなのかもしれないな…。こんなんじゃ私が仕事に行っても、また怒られてしまうだろうし、そうやってみんなに迷惑かけちゃぬんだろうな。あぁ…。なんて駄目な自分なんだろう。嫌になるよな…。」
上記のエピソードを基に、抑うつになりやすい捉え方を見てみましょう!!
『抑うつ』になりやすい捉え方とは?それは、
「出来事に対する原因を内的で、安定的、全般的な原因に帰属させること」です!!
えっ??? どういうこと???
分かりにくいですよね(汗)
では、詳しく解説していきます!
具体的な例にそって説明する方が、イメージがつきやすいと思うので、
長くて恐縮ですが、私が上記にあげた、先輩の怒られたAさんのエピソードに目をとおして頂いて、先にお進みください。
「抑うつになる捉え方とは、内的で、安定的、全般的な原因に帰属すること」
ひとつめ、「内的」について説明します。
「内的」とは、「自分に原因があるという捉え方」です。
上記のAさんの頭の中で、Aさんが考えていたことを振り返ると、Cさんに怒られたことの原因を、自分の選択が間違っていたとAさんは捉えています。また、マニュアルに沿ってない自分が悪かったとも結論づけています。
自分の選択やそれに伴う言動が、Cさんに怒られるという悪い結果を引き起こしてしまったという捉え方です。これが内的に原因を帰属させるということです。
「抑うつになる捉え方とは、内的で、安定的、全般的な原因に帰属すること」
ふたつめ、「安定的」とはどういう原因のとらえ方なのでしょうか。
「安定的」とは、「悪い結果は、たまたまじゃなくていつも起こるものだという捉え方」です。
上記のAさんの頭の中で、Aさんが考えていたことを振り返ると、今回Cさんに怒られたことがきっかけだったのが、夕食時の出来事や、Eさんとのやりとり、ひいては、過去のお母さんとの出来事と、次々に自分が駄目で怒られた記憶をたぐりよせています。ひとつの悪い出来事が、これまであった悪い出来事を引き寄せはじめると、それは磁石で引き寄せられるように自分の意識に押し寄せてきます。そうなると、今回のことに限らず、いつも自分は駄目なのだという捉え方が強められていきます。
また、補足して説明をすると、Eさんとのやり取りのエピソードや夕食配膳時のエピソードについては、実際の出来事というよりも、Aさんが、EさんやDさんの表情を解釈して、悪い出来事であるように捉えています。ネガティブな感情が、物事の捉え方をよりネガティブなものにしていきます。実際に何が起きたかというよりも、Aさんがその事実をどうとらえたかという捉え方がより自分自身の感情や行動に影響を及ぼすかがよりお分かりいただけるのではないでしょうか。
ネガティブな物事の捉え方が、ネガティブな感覚や気持ちを増大させていく力を備えている。その力が大きければ大きいほど抑うつになるリスクが大きくなります。「安定的」とは、悪いことはいつだって、私に降りかかるもので、それは、これまでもずっとそうだったという捉え方です。これが、安定的に原因を帰属させるということです。
「抑うつになる捉え方とは、内的で、安定的、全般的な原因に帰属すること」
みっつめ、「全般的」とはどういう原因のとらえ方なのでしょうか。
「全般的」とは、何をする時でも悪いことが起きるという捉え方です。言い換えると、自分にはいつも悪いことが起きるという考え方が定着してしまうことです。
先ほどのAさんの事例で見ていくと、Cさんに怒られたことから、だんだんと自分の中でネガティブな記憶が芋づる式に引き出されています。自分ができないことにまつわる記憶が次々によみがえってくることで、「何をしても自分は駄目なのではないか…」という感覚にさいなまれていってしまいます。これが、全般的は原因に帰属するということ、何をやっても駄目な自分という捉え方が大きくなってしまう状態のことです。
このように、ネガティブな出来事が起こったのは、いつだって、何をしていたって、自分が駄目だからだという捉え方をしてしまうと、この先もずっとそうなんだという思い込みが生まれます。そういう将来にわたって「いつだって、何をしても、駄目な自分」という思い込みのことを無力感予期と言います。
「いつだって、何をしても、駄目な自分」という捉え方が強くなればなるほど、これからもうまくいかないんだ…という不安をより強く感じるようになります。
これを、予期不安といいます。
この予期不安が抑うつの正体なのです。
もし、予期不安がおおきくなった時、ご自分にこう問いかけてみましょう!!
➀私は悪くなんてない。
②完璧な人なんていない。
③失敗しない人なんていない。
そうなんです。
失敗をしたからと言って、ネガティブな出来事が起きたからと言って、
それはあなたのせいではありません。
それを責められてからといって、自分以外の人が完璧なはずもありません。
完璧な人がいないように、失敗をしない人なんていません。
いるとしたら、失敗を恐れている人です。
しかし、失敗を恐れる必要はありません。
なぜなら、失敗した時にしか、人は成長できないからです。
悔やむより、そこから次の行動に生かすことを考えましょう。
あなたには、あなたの価値があります。
自分に厳しくするの、もう、やめにしよ♡
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