父ちゃんの懐

query_builder 2021/04/26
ブログ
夢咲ホーム みず穂

父ちゃんは、11年前、

57歳で亡くなりました。    




癌でした。         



父ちゃんは、 とても厳しくて、 寡黙な人でした。        



こうあるべき という

べき人間でした。        





子どもの頃、 父ちゃんが

一緒にやってくれた キャッチボール。          




私がピッチャーで、

父ちゃんがキャッチャー。    



父ちゃんがキャッチャーしてくれると、

投げやすくて。    





その大きな懐に、 安心して投げ込めた  

記憶が残っています。        





寡黙な父ちゃんに、

言葉で何かを伝えたかったわけではないけど、      



私が投げるボールを、


どんな球でも、  


優しく受け止めてくれる。      



そんな、 遊びが、    

私にとっては、    

父ちゃんの懐の大きさを 感じられる瞬間でした。    





この記憶は、 私が、

心理士として 就職した後の 患者さんとの関わりにも とても影響を与えていました。          

患者さんの中には、

病気や症状の影響で、    

自分の感情や、考えを うまく言葉にして 伝えることが、      



とても、とても 難しい方がいらっしゃいます。        




そういう時、 言葉よりも、

こちらの行動や振る舞いが、      

患者さんに安心感を提供できる 唯一の方法になることがあります。      



ある患者さんと、

私は、キャッチボールを始めました。      




患者さんの投げたボールを受け止める。

患者さんが取りやすいボールを投げ返す。    



そんな、やりとりを 続けていました。      


すると、 その患者さんは、

最初ぎこちなかった動きが、        



次第に、 スムーズに動けるようになって、          



キャッチできる範囲がだんだん 広がって行きました。          





すると、 言葉でのコミュニケーションも 今までよりも、取れるようになり、    

緊張していた体が 少しずつリラックスできるようになっていました。      




その時 私は、 ただキャッチボールを通して、    

いつも、 こう思いながら 患者さんと関わっていました。            






「リラックスしていいんです。

投げ込むボールは、

あなたの脅威ではなく、

あなたへの優しさなのです。  

そして、私は、あなたが、

安心できるように、協力したいと 思っているのです」          







そう、父ちゃんが 私のボールを優しく 受け止めてくれたように。            




相手のことを思う時、

その思いが、

私の身体を通って、

ボールに伝わる。    

それを相手が受け止める。      



相手のことを考えずに、

ただ、 自分の感情にまかせて  

投げ込まれたボールには、

攻撃的な

衝動的な

波動が 伝わります。        





今の現場でも、

それは、私の中に脈々と 生き続けています。      






最近の 新型ウィルス騒動で、  

介護現場でも、

感染対策などをはじめとする、

環境整備がとても重要です。      





病気を予防するという目的もとても大切です。      






私は、 もうひとつ いつも意識することがあります。        





利用者さんが 気持よくその日を過ごしてもらえるように、  

利用者さんが、 明日を気持ちよく迎えてもらえるように、    




そういう気持ちを込めて、 日々の業務に取り組んでいます。        






単に掃除をするのではなく、

そこには、 利用者さんが気持ちよく、

今この瞬間を生きて頂けるようにという 想いを込めているのです。        





目的は、 掃除ではなく、

利用者さんが、

少しでも幸せを感じて頂けるように。      




その、 基本的な条件が、

安全で安心できる環境なのです。                





父ちゃんが 言葉ではなく、

態度で示してくれた 優しさ。        





ありがとう。 父ちゃん。        





病気が見つかる前、    

父ちゃんは、 当時の私には、

理解しがたい、

活動をしていました。          




当時の私には、 また、変なことに騙されているんじゃないか、

そんな父ちゃんのことを いぶかしく見ていました。        






でも、今考えてみると、 きっと、 とうちゃんは、

自分が信じたものを 自分がいいと思ったことを シェアしてくれる、    

仲間と繋がりたかったのだろう。    

自分のことを理解してくれる人を捜していたのだろう。    

自分がその中で認められたかったのだろう。    





そんな気持ちだったのではないかと思います。      





きっと、あの時父ちゃんも、 私と同じように、

人の役に立ち、

そういう自分を認めて欲しい そんな気持ちだったんだろうと思います。      





そう考えた時、 父ちゃんと繋がれるような気がします。      






父ちゃんには、 謝りたいこともあります。      

父ちゃんに病気が見つかった時、

私に連絡をしてきて、

病気の説明を一緒に聴いて欲しいと 言って来ました。          





「癌で、余命も少ないらしい」          





その話を一緒に聴いて欲しいと 父が頼んできたのです。            





私は、 言葉では、応じながらも、

父が病気であることを 心のどこかでは受け入れることができていませんでした。            





病院で説明を聞く当日、 病院まで行く 車中。        



落ち着かない自分がいて、

いつもは、

ガムなんか、  

噛まないのに、    

その日は、

行きしな、

コンビニによって、    

ガムを噛んでいる自分が居ました。        






噛めば噛むほど、 その噛む力が、    

不安と緊張を 増幅させるようで、    

ますます落ち着かない心地でした。        







リラックスしようと思っても リラックスできていない自分。      

それに、 拍車をかけるように、  



久しぶりに会った 父は、    





見るからに痩せていました。        





その姿に ショックを覚え、      






ガムを噛んでいることも忘れてしまうほどでした。        


自分が 何とか正気を取り戻したのは、 お医者さんから説明を受けていた時のことでした。       ハッと気づいた時、 無意識にガムを噛んでいた私。      





お医者さんの説明を聞きながら ガムを噛んでいるなんて。    

そう思った瞬間、 その先生から、

「こんな状況の時に、ガムを噛むなんて!」 と怒られてしまいました。    




そりゃ、そうです。 お叱りはごもっとも。      






私が、その時 恥ずかしくなったことは、

自分の気持ちにばかり目が向いていたこと。      




父ちゃんは、もっとショックだったに違いない。    




そんな父ちゃんへの気持ちを 完全に見失っていたこと。      



ひとりにさせちゃってごめん。 父ちゃん。    




父ちゃんは、 その説明を聞く時も、

その説明を聞き終わって帰る時も、  

父ちゃんは、 冷静でした。    

私に余計な心配をかけないようにしてくれていたのかもしれません。    






余計な心配ってなんだよ。      




俺の方が、もっと父ちゃんのこと、

今度は、 自分が父ちゃんが投げ込んできたボールを 懐深く受け止める番だったのに。      


ごめん。父ちゃん。      



もう一度、キャッチボールしよう。 父ちゃん。      

俺がちゃんと受け止めるからな。    





受け止めてもらってばかりの自分に 気付かせてくれた父ちゃん、

本当にありがとう。          



受け止めてもらう側じゃなく、

不安な人を受け止めて、

自分らしく人生を生きて欲しい。



私は今、

カウンセリングをしています。




最後まで、読んで頂きありががとうございました。

少しでも、皆さんの幸せに役立てば、

それが私の幸せです!

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